(片岡 義明 さん寄稿)
SNS上では世界各国のバラエティに富んだ主題図が数多く紹介されています。世界地図を色分けしたものや特定の国に絞った地図、表示内容を変更可能なインタラクティブマップなど、Xで注目されているユニークな主題図の数々を紹介しましょう。
(1)各国の国歌の主題を色分けした地図
https://x.com/CsabaSzekely7/status/1947614596526694542
各国の国歌において何をテーマにした歌詞なのかを色分けで表現した地図です。「国(country)」「闘争(battle)」「旗(flag)」「人(person/people)」「言語(language)」「友好(friendship)」「歌詞なし(No lyrics)」の7つに分類されており、全体的には「国」をテーマにしている国が最も多く、次に「闘争」や「人」が多く見られます。国歌の歌詞の内容はその国の歴史と深い関係があり、「なぜこの国は○○をテーマにしているのか」を考えることで各国の新たな一面を知るきっかけになります。
(2)出生地主義の国籍が土地に基づく場所と血統に基づく場所
https://x.com/vintagemapstore/status/2038970819624268281
出生地に基づいて国籍を決定する“出生地主義”の国と、親の国籍に基づいて子の国籍を決定する“血統主義”で色分けした地図です。全体的には血統主義を採用している国が多いように見えますが、実際にはこのように単純ではありません。一方の方式を全面的に採用しているわけではなく、原則をどちらかに置いた上で他方の決定方法を採り入れたハイブリッド方式の国も多く、Xでもこの点について指摘している意見が多く見られます。
(3)国境線だけの地図
https://x.com/vintagemapstore/status/2038942130412863558
国境線のみで描かれた地図で、国と国とがどのように接しているかをシンプルに表現しています。中東地域を中心に描かれており、接している国が比較的少ないアメリカやカナダなどが小さく描かれている一方で、中国やロシア、ブラジルなどは大きく描かれており、日本やイギリスなどの島国は枠外に描かれています。国境線という切り口で世界を見つめ直すことができるユニークな地図です。
(4)米国各州で最悪を占める項目でラベル付けされた地図
https://x.com/vintagemapstore/status/2038292826434208020
米国各州において、「どの州がどのような内容について最悪なのか」を一覧できる地図です。例えばアリゾナ州は「Highest rate of home foreclosures(住宅の差し押さえの率が最も高い)」、オレゴン州は「Highest childcare costs(保育料が最も高い)」、ミシシッピ州は「Highest poverty rate(最も貧困率が高い)」、ネバダ州は「Highest divorce rate(最も離婚率が高い)」、ハワイ州は「Highest tax burden(最も税負担が高い)」など、その州が抱えている課題が浮き彫りになります。
(5)イタリア国歌に言及される国々
https://x.com/vintagemapstore/status/2037523784614445182
イタリア国歌「マメーリの賛歌」の歌詞に登場する国を表した地図で、ポジティブに言及した国とネガティブに言及した国で色分けされています。この歌に国名が出てくるのは4番と5番で、作詞された19世紀前半ではイタリアは複数の小国に分かれていましたが、その後、少しずつ統一されていったという経緯があり、その歴史的背景が歌詞にも反映されています。
(6)米国各州の観光局ロゴで使用されるフォント
https://x.com/vintagemapstore/status/2036926111142101171
アメリカの各州の観光局ロゴで使用されているフォントがひと目でわかる地図です。書体の違いによって各州のイメージがなんとなく伝わってくるのが面白いです。カリフォルニアやミズーリ、ハワイなどはカラフルで印象的なのに対して、東海岸付近の州はおとなしい書体が多いようです。ノースダコタとサウスダコタが対照的な書体を使用していたり、ニューヨークが地味な書体を使っていたりと、細かく見ていくと面白い発見があります。
(7)主要な日本ブランドの地図
https://x.com/vintagemapstore/status/2036681232449482996
日本ブランドの本拠地の分布を企業ロゴの配置で表現した地図で、どの地域にどのような企業が集積しているかがひと目でわかります。多くの企業が本社を置いている東京と大阪は拡大図となっています。この地図をもとに独自に企業を追加したり、業種ごとの地図を作ったりと、アレンジしてみるのも楽しそうです。
(8)米国本土の州鳥
https://x.com/vintagemapstore/status/2039776866483994636
アメリカの各州議会によって指定されている“州の鳥”がわかる地図です。州の鳥は、1927年に7つの州によって選定されたときに始まりました。赤色のショウジョウコウカンチョウがイリノイ州やインディアナ州、ケンタッキー州など7つの州の鳥で、胸部が黄色いニシマキバドリがカンザス州やモンタナ州、ネブラスカ州など6つの州の鳥となっているなど、複数の州で同じ鳥を採用している場合もあります。
(9)ヨーロッパ人は誰を一番からかうか
https://x.com/theepicmap/status/2037956605904593238
ヨーロッパ人はそれぞれ「どこの国を最もからかうのか」を国旗で表した地図です。全体的な傾向としては、隣り合う国同士の場合が多く、これは歴史的に関わりが多い国をジョークの題材にすることが多いということでしょう。「この国はなぜこの国をからかうのか」を考えることでヨーロッパの国同士の関係が見えてきます。面白いのが、イタリアにはイタリア国旗が描かれている点です。自虐ネタが好きということでしょうか。
(10)国境が最も近い首都によって決まる場合の世界地図
https://x.com/TerribleMaps/status/2025666094732849503
その地域に距離が最も近い首都によって国境線を引き直した地図です。首都の位置と本来の国の大きさを比べながら見ると、色々な発見があります。アメリカや中国、ロシア、オーストラリアなど領土の大きな国が実際よりも大幅に小さくなり、モンゴルやカザフスタン、ボリビアなどが大きく描かれています。カナダの場合は実際の大きさとあまり変わらず、アフリカや南米などは実際よりも各国の大きさに偏りが少なくなるのも面白いです。
(11)アポロ11号メンバーによる月面遊歩の地図とサッカー場との比較
https://x.com/vintagemapstore/status/2040497378759688538
1969年、アポロ11号により月面に着陸したニール・アームストロング船長とバズ・オルドリン月着陸船操縦士の歩いた軌跡をサッカー場と重ね合わせた図です。月着陸船(LM)やテレビカメラ、地球からレーザービームを照射して距離を測定するための反射装置(Laser Ranging Retroreflector:LRRR)、受動式月震計(Passive Seismic Experiment Package:PSEP)、太陽風調査機器(Solar Wind Composition:SWC)など様々な機器の位置や、国旗を立てた場所、アームストロング船長とオルドリン操縦士が辿ったルートなどが描かれており、背景のサッカー場と見比べることで、月面上でどれくらいの距離を移動したのかを実感できます。
(12)地球の重力マップ
https://x.com/theepicmap/status/2037774425639284758
NASAのGRACE衛星によって観測された地球の重力データをもとに生成したジオイド(平均海面を仮想的に陸地へ延長した面)の全球マップです。海洋部では太平洋や大西洋の北部が盛り上がり、インド洋の付近が凹んでいることがわかります。陸地についても細かい凹凸があり、重力の分布が一様でないことが見て取れます。
(13)古代ローマのコインが見つかった場所の地図
https://x.com/theepicmap/status/2038208673546469707
古代ローマで流通していたコインが見つかった場所の分布図です。ヨーロッパや中東だけでなくアジアや東南アジア、中国、北アフリカでも見つかっており、古代ローマがいかに広い地域に影響を与えていたのかがわかります。アジアではインド南部やスリランカに多く見られるのは、この地域を原産とする香辛料が交易品としてローマに広がったためと思われます。
(14)アフリカの人口密度
https://x.com/theepicmap/status/2035746840650678594
アフリカの人口密度を可視化した地図です。黒い背景に黄色や白の点が無数に並んでいるこの図は、まるで人工衛星から撮影した夜間光を連想させます。北アフリカではモロッコ・アルジェリア・チュニジア、西アフリカではナイジェリア・ガーナ・ギニア、東アフリカではケニア・ウガンダ・タンザニアなどで人口密度が高いように見えます。北部でほぼ黒い部分はサハラ砂漠が広がっている地域ですが、その中でもエジプトは、人口が集中しているエリアは少ないものの色が白く人口密度が高いことが見て取れます。
(15)エジプトの人口密度
https://x.com/Civixplorer/status/2037790290480898448
「(14)アフリカの人口密度」のマップの中でも、とくに人口密度が高かったエジプトの人口密度を詳しく可視化した地図です。この国はナイル川に沿って人が居住していることがよくわかる図です。下流地域は扇状地が広がっており、首都カイロ付近の人口密度がとくに高いことが見て取れますが、河口付近のアレクサンドリアにもかなり多くの人が集中していることがわかります。
(16)スペインの分水嶺の地図
https://x.com/Civixplorer/status/2041049319034261687
“分水嶺”とは、雨水が異なる水系(河川)に流れる境界となる山々のことで、この地図はスペイン国内において大西洋と地中海のどちらに流れるのか、その分水嶺を河川のラインとともに分かりやすく表示しています。赤色のエリアでは雨水が大西洋に流れ込み、青色のエリアは地中海に流れ込むことを示しています。地形図と比較しながら河川がどのように流れ込んでいるかを見ることでスペインの地勢を把握することができます。
(17)スペインのサッカークラブの地図
https://x.com/Civixplorer/status/2039961968149242126
スペインに本拠を置くサッカークラブの分布図です。「(16)スペインの分水嶺の地図」と同様に、地形図と比較しながら見ると面白いです。分布を見ると、とくに首都マドリッドや北部のピレネー山脈西端のバスク地方に多くのクラブチームが集まっているのがわかります。また、西地中海に浮かぶバレアレス諸島にも多くのクラブがあるのに驚かされます。
(18)2025年の国別ベストセラーカー・ブランド
https://x.com/Civixplorer/status/2040403287409565871
2025年において国ごとに最も年間販売台数が多かった車のブランドを、各自動車メーカーのロゴを使って可視化した地図です。圧倒的にトヨタが多く、とくにアフリカや南米ではかなりの割合を占めています。一方、ブラジルでフィアット、インドでスズキ、マレーシアで三菱、カザフスタンでヒュンダイなど、グローバルの市場シェアで上位に入っていないメーカーも見られます。各国でそれぞれどの車種が最も売れたのかを調べてみると面白い発見がありそうです。
(19)海上交通のワールドマップ
https://x.com/Civixplorer/status/2040102275188691400
世界中の海上交通網を可視化した地図で、世界各国が海運によっていかに緊密に結びついているかがよくわかります。大西洋や太平洋を行き交う線も多いですが、とくにアフリカの喜望峰から放射状に伸びる線も非常に多く、ここが国際物流の重要拠点であることを再認識させられます。
(20)SF Isochrone Map
サンフランシスコ市内において徒歩・自転車・自動車・鉄道の4つの移動手段ごとに移動時間を、リアルタイムの交通量をもとに算出できるマップです。交通手段と移動時間を指定し、マップ上を指定することで到達できるエリアを可視化することができます。また、複数の交通手段で到達可能エリアを重ねて比較することもできます。
(21)OpenGirdWorks
https://opengridworks.com/power-plants
世界中の発電所を可視化したインタラクティブマップです。石油・石炭・ガスや太陽光・風力、原子力など発電方法によって異なる色で示されており、各国の電力事情を把握できます。発電所のほかにデータセンターやインターネットエクスチェンジの位置が掲載されているほか、Sentinel-5PやLandsat-9、Suomi NPP、NOAA-20などの人工衛星のリアルタイムの位置や、海底ケーブルの敷設状況も掲載されています。
(22)Newspaper Map
世界中の現在稼働中の新聞の分布図です。拡大・縮小することで国ごと・地域ごとの新聞の数が表示され、どの地域に新聞が多いのかを把握することができます。各アイコンを選択するとリンク先が表示され、その新聞のウェブサイトにアクセスできますが、中にはリンク切れとなっているウェブサイトもあります。また、同じ新聞が複数の位置に配置されている場合もあるので注意が必要です。